昨今、ロードバイクは、油圧ディスクブレーキタイプのフレーム、コンポーネントが主流になってきています。
油圧ディスクの時代が到来したとは言うものの、油圧ディスクが一方的に優位という訳ではありません。比較すると一長一短あり、使い方によって、どちらを購入するか決めるのがよいと考えます。
フラッグシップモデルは、殆どが油圧ディスクブレーキタイプです。
無条件で油圧ディスクを選んだ方がいいひと
以下のような人は、油圧デイスクブレーキを選んだ方がいいです。
- 最新・最先端のものが欲しい
- 流行は抑えておきたい
- 1台を長く乗る予定
- 女性
最新かつ最先端/流行
最先端のモデル、流行は、間違いなく油圧ディスクブレーキです。ハイエンドモデルの殆どは、ディスクブレーキです。
1台を長く乗る
1台を長く乗って楽しみたいのであれば、ディスクブレーキの方が良いと考えます。ホイールなどの新商品の殆どが、ディスクブレーキに対応しているものです。色々、パーツを買って試したい、楽しみたいのであれば、ディスクモデルの方が楽しめる可能性を秘めています。
女性
サイクリングが楽しくなってくると、山を登ってみたくなります。坂を下るとき速度を抑えるために、殆どの区間ブレーキを掛け続けます。ブレーキを掛けっぱなし(レバーを握りっぱなし)にするのは、かなり握力を消耗します。下る距離が長いと手が疲れて固まってしまうことがあります。
同一制動力を得ようとしたとき、ディスクブレーキ、特に油圧式のディスクブレーキの方がリムブレーキよりも小さい握力で済みます。
油圧ディスクブレーキとリムブレーキ
ブレーキの方式が変わるだけで、フレーム、コンポーネントが変わってきます。
油圧ディスクブレーキ

SPEEDSTER 10 DISC
ホイールの車軸付近にブレーキ用のローターとピストンを備え、ローターをピストンで挟み込んで、ロードバイクを制動させます。
MTBなどでは、既に油圧ディスクがスタンダードです。更に言えば、自動車やオートバイにも、かなり前から採用されています。
リムブレーキ

SPEEDSTER 10
ホイールのリム部分をブレーキシューと言われるゴムで挟み込むことてで、ロードバイクを制動させます。
一般的な自転車のブレーキで、ママチャリの前輪ブレーキなどに見られます。
比較表
それぞれの項目について、どちらがいいのか一覧表にしてみました。
No | 項目 | ディスク | リム |
1 | 流行 | 〇 | ✖ |
2 | 価格 | △ | 〇 |
3 | 重量 | △ | 〇 |
4 | 制動性(ドライ) | 〇 | △ |
5 | 制動性(ウェット) | △ | ✖ |
6 | 制動に必要な力 | 〇 | ✖ |
7 | カーボンホイール | 〇 | ✖ |
8 | 乗り心地 | 〇 | △ |
9 | 輪行袋パッキング | ✖ | 〇 |
10 | メンテナンス | ✖ | 〇 |
各項目について簡単に解説
なぜそういう判断に至ったのかについて、書いてみました。
輪行袋パッキングの様に、項目の中には、慣れてしまえば気にならないものもあります。メンテナンスなどは、店舗に依頼すれば関係なくなりますが、トラブルが起きたときの為に、知識としては、もっておきたいところです。
流行
流行は、油圧ディスクブレーキです。更に、ホイールの軸固定方法はスルーアクスルが主流です。ディスクブレーキを選ぶなら、このふたつは、セットです。油圧ブレーキ、スルーアクセルかを、確認して下さい。ミドルグレード以上のロードバイクでは、ディスクブレーキモデルしかありません。リムブレーキタイプがあるのは、ほぼアルミのエントリーモデルのみになります。
価格
リムブレーキタイプの方が価格は安いです。構造や部品点数、生産効率、生産数など多くの項目が影響していると思われます。
重量
リムブレーキの方が軽いです。ヒルクライムよりのコースレイアウトだと、リムブレーキのロードを選択している選手がいたり、チームがあったりします。今後、技術開発が進めば、差が無くなる可能性は十分にあります。
東京2020
2021年に行われた、東京五輪2020 自転車ロードレース男子は、「金と銅」を取った選手がリムブレーキ、「銀」を取った選手が油圧ディスクでした。女子は、「金、銀、銅」を取った選手全員が、油圧ディスクでした。
本当の選定理由は分かりませんが、ヒルクライムよりのコースだったのが影響していると思われます。男性と女性とでも選定理由が変わってくると考えます。
東京五輪 自転車ロードレースコースプロフィール
男子:総距離約244km/獲得標高4,865m
女子:総距離約147km/獲得標高2,692m
富士山(スバルライン)を上った場合を参考までに
距離約25km/獲得標高1,200m
制動性(ドライ)
ドライ状態でのブレーキ性能(制動性能)は、若干油圧ディスクが優れていると思いますが、そんなに差はないと思います。
油圧ディスクに実際に試乗してみて、フルブレーキのテストをしてみましたが、大きな差を感じることは出来ませんでした。
制動性(ウェット)

雨天時などのウェット状態でのブレーキ性能(制動性能)は、ディスクブレーキの方が圧倒的に効くと言われています。ブレーキ部分の水分除去能力と路面からブレーキ部が離れていることが影響していると思われます。
制動に必要な力
油圧ディスクブレーキは、名前のとおり油圧技術を使っています。油圧は小さな力を大きくする技術として一般的で、自動車、オートバイをはじめ様々な機構に利用されています。ワイヤーを使って制動させているリムブレーキと比べると、同じ握力でも大きな制動力を得ることが出来ます。
カーボンホイール

リムブレーキのカーボンホイールは、ホイールの一部であるリム部分をブレーキシューで挟み込んで制動させます。この時、リム部とシューとの間で摩擦熱が発生します。
摩擦熱が高くなると、カーボンが熱に耐えられなくなり変形することがあります。カーボンクリンチャーホイールだと、熱がインナーチューブまで到達し、チューブを痛めることもあります。
一方、ディスクブレーキは、ローターを挟み込みますので、カーボン部分に熱が伝わりにくいです。車軸に配置されているのが優位に働いています。
乗り心地
ディスクブレーキはリム部分に制約を受けないので、フレーム形状やホイール形状を設計するのに自由度が高く、ホイール(タイヤ)を太くすることができます。タイヤが太くなると多少重量が増えるものの、空気を貯められる量が増えるので乗り心地が良くなります。
輪行袋パッキング
油圧ディスクのロードバイクを、輪行袋に入れるときには注意が必要です。

ホイールを外した後に、ブレーキレバーを握ってしまうと、ピストンが出っ放しになってしまい、工具が無いと元にすことができなくなります。組み立て時に、ホイールを組み付けることができなくなります。そうならないようにする為に、挟み込む治具が必要になります。
スルーアクスルにも工具が必要です。(工具付きレバーのものもあります。)
メンテナンス
油圧ディスクとあるとおり、油圧のメンテナンスが必要になります。油圧のメンテは、ワイヤーよりも手間がかかります。指定されている油種によっては、フレームの塗装を痛めるものもあり、油圧のメンテナンスは、技術と道具、知識が必要になります。
油圧ディスクのパッドとローターは消耗品です。特に、パッドの消耗は激しいです。リムブレーキのシューより交換周期は短いので注意が必要です。一般的にライニング厚が0.5mm以下になったら交換です。
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