2020 東京五輪 ロードレース男子 激闘の出場権争い

ロードバイク

自転車競技はアテネ五輪(1896年)から採用されています。アテネ五輪は近代五輪最初の大会です。五輪競技最古のひとつです。

TOKYO2020 ロードレース男子代表選手が決定しました。「栄光へのペダル~ロードレース日本代表への激闘~」(NHK BS1)をベースにサイクル関係のメディアやSNS等から情報をまとめてみました。

出場権獲得競争

代表枠は開催枠とアジア枠を国同士で争い獲得していきます。日本の代表枠は2枠です。この2枠を日本人選手がUCIポイントの獲得競争をして上位2名が出場権を手に入れます。

3枠目を獲得するべくアジア選手権に挑戦しましたが惜しくも逃してしまいました。

当初は2019年1月1日~2020年5月31日での獲得ポイントを争うことになっていました。

この記事のランキングには登場しませんが別府史之選手も非常に重要な役目を果たしていると考えますので所々で書いていきます。

番組では、増田選手、新城選手、中根選手、別府選手にクローズアップしています。

UCIポイントについて知っておいて欲しいこと

UCI(世界自転車競技連合)によってレースとチームがカテゴライズされています。

レースのカテゴリ

ツール・ド・フランスやジロ・デ・イタリア、ブエルタ・ア・エスパーニャ等の3大ツール、クラシックレースなどレース毎にカテゴライズされています。上位レースほどUCIポイントが大量に獲得することが出来ます。上位レースに出場し、成績によっては大量のUCIポイントを獲得するチャンスがあります。

チームのカテゴリ

UCIワールドチーム、UCIプロコンチネンタルチーム、UCIコンチネンタルチームに分かれています。振り分けられたチームのカテゴリによって参加できるレースに制限があります。

下位カテゴリのチームは上位カテゴリのレースへの参加資格が与えられていません。運営の推薦または交渉によって参加させてもらう形を取る必要があります。

つまりトップチームに所属していればトップカテゴリのレースに参加出来て大量のUCIポイントを獲得するチャンスがあります。

とはいえ、チームレースなのでUCIワールドチームに所属出来たとしてもアシストになり力尽きて途中棄権してしまうとUCIポイントが獲得出来ないというジレンマもあります。

そもそもエントリすること自体から勝負です。

2019年

全日本自転車競技選手権大会ロードレース大会

2019年6月30日

全日本選手権個人タイムトライアル大会で増田選手が優勝します。タイムトライアル終了時点(6月27日)で増田選手が獲得ポイントランキングの首位に立ちます。

1増田 成之196.8
2岡  篤志86
++出場枠+++
3伊藤 雅和85
4石橋  学70
5新城 幸也61.5
2019年6月27日時点

全日本選手権ロードレース大会は、別府選手と新城選手が終始レースを掻き乱す展開になりました。152人いた出場者は14/21周目には56人と1/3近くまでになっています。この戦略は成功したと言えます。

結果は、入部正太朗選手が優勝し新城選手が2位でした。増田選手は8位でした。チームで出場している増田選手を上回る順位を新城選手が獲得しました。

チーム戦が圧倒的に有利なロードレースでありながら、新城選手は、マークされている状態で勝つことが出来ました。新城選手の圧倒的実力差があるのだと感じました。3月練習中に落車し骨折する大怪我をしたにも関わらず、リハビリ、トレーニングでレースに合わせてくるあたりも凄いです。

別府選手は25位でした。中根英登選手は大会前にドクターヘリで運ばれるような落車事故を起こし欠場しています。

1増田 成之201.8
2伊藤 雅和105
++出場枠+++
3新城 幸也99
4岡  篤志86
5小林 海 70.5
2019年6月30日時点

PRUDENTIAL RIDELONDON

2019年8月4日

ポイントが高く設定されているこのレースで新城選手が26位(72pt)完走を果たしています。

1増田 成之201.8
2新城 幸也171
++出場枠+++
3石上 優大140.5
4伊藤 雅和108
5岡  篤志86
2019年8月4日時点

これで新城選手は獲得ポイントランキング2位にランクアップします。

ジャパンカップ

2019年10月19日

中根選手は6位(70pt)、新城選手は12位(20pt)、増田選手は13位(15pt)、別府選手は残念ながらポイントは獲得できませんでした。アシストの仕事をしっかりとこなしチームを優勝に導きました。

別府選手にとって、ポイントを獲得するとても重要なレースだったと思います。チームが勝つためのチームオーダーがあったのだと思います。アシストをせざるを得ない状況と五輪大会自国開催に出たいという気持ちが、この後、別府選手が大きな決断をすることになったのだと想像します。

1増田 成之216.8
2新城 幸也191
++出場枠+++
3石上 優大161.5
4中根 英登115
5伊藤 雅和108
2019年10月20日時点

中根選手が獲得ポイントランキング4位に急浮上しました。

2020年前半戦

別府選手と中根選手は2020年をNippo Delko One Provence(UCIプロチーム)で戦うことを決めました。他に岡篤志選手、石上優大選手もNippo Delko One Provenceに所属します。Nippoはメインスポンサーでしかも日本企業です。

別府選手は超トップチームであるトレックセガフレードとの契約を1年残しての移籍を決心しました。東京五輪に対する熱き思いを感じます。

強い思いとは裏腹に年明け早々のチーム練習で落車し骨折する大怪我をします。この大事な時の約1か月を棒に振ることになります。

TOUR DOWN UNDER

2020年1月21~26日

新城選手はこのレース終始好調を維持し総合順位29位(120pt)で完走しました。

1新城 幸也311
2増田 成之256.8
++出場枠+++
3石上 優大161.5
4中根 英登115
5伊藤 雅和108
2020年1月26日時点

ついに新城選手が選考ランク1位になりました。

ETOILE DE BESSEGES

2020年2月5~9日

別府選手の復帰レースです。キャプテンに選ばれました。初日、チーム、本人ともに振るいませんでした。翌日、キャプテンとしてアシストに徹しチームを鼓舞します。ポイントを獲得することは出来ませんでした。

結果的にチームは上々の成績を残すことが出来ました。別府選手はポイントを獲得することが出来ませんでした。

3,4,5月のクラシックレースに全てを掛けるという考えでの復帰戦としては、上々の結果だったのではないでしょうか。

あきらめずに最後まで望みをつないでいます。

出場選手決定!???

2019年1月1日~2020年5月31日での獲得ポイントで出場選手が決まる予定でしたが新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で状況が一変します。

オリンピック1年延期が決定しました。レースも続々と中止、延期になります。

別府選手のクラシックレースで成績を残して大逆転するという計画はここで儚く散ることとなりました。

この決定を受けて日本自転車競技連盟(JCF)は代表選定期間を2020年10月17日に延長することを決定しました。

2020年後半戦

8月に入ってヨーロッパでレースが再開されていきます。

Bretagne Classic

フランスで行われてたワールドツアーで中根選手がポイントを獲得しました。

8月25日

1新城 幸也518
2中根 英登282
++出場枠+++
3増田 成之274.8
4石上 優大161.5
5伊藤 雅和153
2020年8月25日時点

中根選手がチャンスを生かして選考ランク2位に浮上しました。

国内レースは全て中止

そんな中、日本のUCIポイントが獲得レースが続々と中止になりました。この期間、増田選手はポイントを獲得することが出来ずに3位になってしまいます。そもそもレース自体が行われないのですから、精神的にはかなりきつかったのではないでしょうか。

中止になったレース

2020年3月 ツール・ド・とちぎ
   5月 ツール・ド・熊野
      ツアー・オブ・ジャパン
   6月 全日本選手権
   8月 おおいたアーバンクラシック
      ツール・ド・北海道

7月に、増田選手は「代表選考基準は不当だ」として、日本スポーツ仲裁機構に仲裁の申し立てをしました。これは同年8月初旬に請求を棄却されます。

申し立て内容の詳細は分かりませんが、国内外でのUCIポイント獲得レースの有り無しという不平等な状況に対して選考を続けるのはいかがなものか。と言うことだと思います。気持ちはとても良く理解できます。

しかも、提訴後に2位から3位に陥落しています。宇都宮ブリッツェン、増田選手は「ほらー。言わんこっちゃない。」と心の中で叫んでいたでしょう。

宇都宮ブリッツェンのスタッフは海外レースに活路を求めますが渡航制限等により、なかなか参加することが出来ませんでした。

根気強い活動の結果、10月のスペインでのレースに参加出来ることになりました。参加したことのないヨーロッパのレースに出場出来たのは何か政治的なものを感じます。宇都宮ブリッツェンのスタッフは東奔西走したのでしょう。凄いと思います。

出場が決定した時にブリッツェンの監督が「妨害にあっていたので発表するのが遅れた。」と言った趣旨の発言をしていました。

本当に妨害を受けていたのかもしれませんが、恐らくこれは被害妄想だったのだと思います。増田選手だけでなくチーム運営スタッフも精神的に追い込まれていたことは間違いないことを物語っています。

PRUEBA VILLAFRANCA DE ORDIZIA

10月12日

中根選手もこのレースに参加しています。増田選手が2位に返り咲くには、25位以上かつ中根選手に勝つという条件になりました。

増田選手は20位(9pt)で完走しました。中根選手よりも上位でした。

1新城 幸也533
2増田 成之283.8
++出場枠+++
3中根 英登282
4石上 優大161.5
5伊藤 雅和153
2020年10月17日時点

代表者決定

新城幸也選手、増田成幸選手に決定しました。偶然ですが二人が駆っているロードバイクはMERIDAです。

後は、2020東京五輪が開催されるだけです。

衝撃的なニュース

12月7日にYahoo!ニュースに衝撃的な記事が載ります。

日仏合同プロ自転車ロードレースチームを襲った不運。運営陣の内紛とコロナ禍が、日本側との確執を生んだ(宮本あさか) - Yahoo!ニュース
2020年、NIPPO・デルコ・ワンプロヴァンスを襲った難題は、新型コロナウイルスだけではない。日本人4選手を抱える自転車ロードレースチームになにが起こったのか。現地報道と関係者の証言で経緯を追う。

要約すると、、、

NippoとDelkoがスポンサーになってUCIプロコンチネンタルチームとして活動。
Nippoは2020年のみの単年スポンサー契約。
日本人は別府史之、中根英登、岡篤志、石上優大が所属。
チームマネージャーで運営団体のオーナーはフレデリック・ロスタン。
ロスタンとNippoのチーム責任者大門は旧知の友。
2020年2月、運営団体のオーナーが変わる。Delkoの社長ランヌ。
ランヌが実権を掌握。
Nippoの契約時方針
「五輪選考レースに残る中根、別府、石上への配慮およびレース出場への配慮」
「日本人スタッフの活用」「日本の若手選手の育成」
Nippoのスポンサー方針、運営方針が守られない事態に陥る。
選手、スタッフに賃金の一部未払いや遅延が発生。
選手たちの不服申し立てを行う。
Nippo・デルコ・ワンプロヴァンスに対しUCI国際自転車競技連合が銀行保証金訴訟を開始。
支払い完了をメディアに発表。

Nippoは単年で契約を終了し2021年はEFプロサイクリングのスポンサーになりました。
別府選手、中根選手がEFプロサイクリングに移籍を発表しました。

感想

新型コロナウイルスによって世界が混乱の渦に巻き込まれましたが、サイクルロードレース界、更には2020東京五輪代表争いにも大きな影響があったことがよくわかります。

新城選手は圧倒的な実力で出場権を獲得したので文句のつけようがないです。

東京五輪の代表権を獲得すべくNippo Delko One Provenceに移籍したことが逆に翻弄されてしまいました。本人たちだけでなくライバルチームも混乱、翻弄した様がみられます。

そんな中レースに出場して仕事をこなしているところはさすがプロという感じでした。ニュースが発表されるまで微塵も感じ取ることが出来ませんでした。

Nippo Delko One Provenceの騒動は欧米第一主義の想が強く影響したのでしょうか。それとも単純に新型コロナによる経済環境の変化によるものなのでしょうか。代表権争いが正常に機能しなかったように見えとても残念でなりません。

国内外で選考に平等感がなく、さらには、様々な環境に影響されてしまったので、納得していない人もいそうです。

そんな中、中根選手はSNSで決定した2名に応援のメッセージを送っています。とても大人だと感じました。私だったら無言を貫いていたかもしれません。

ここにきて、コロナの第3波が来てしまいました。2021年夏東京五輪が開催競れることを心より願ってやみません。

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