ツール・ド・フランス(TdF)などの三大ツールを目指すという目標を掲げたチーム「JCL TEAM UKYO」発足をジャパンカップ2022開催中に発表されました。JCLに関する記事は、前回と前々回で終わりにしようと思っていました。しかし、「JCL TEAM UKYO」だけでなく、那須ブラーゼンと埼玉ディレーブも国際チームとして「さいたま那須サンブレイブ」を発足するというニュースを目にしました。この短期間で、様々な変化が起きており、今を日本サイクルロードレースの変革期と捉えて、今後の進展についても、勝手に見守り、考察、記録していきたいと思います。
JCL TEAM UKYO
発足したチームについて、簡単に書いておきたいと思います。
※調査が甘く間違っている可能性、上手く表現できていない可能性があります。
スタッフ
スタッフ構成が、チームを物語っていると思いますので、スタッフ陣から書いていきたいと思います。
代表:片山右京
チーム名にも入っている通り発足人で広告塔。人気絶頂期だったF1でレギュラードライバーとして参戦。引退後は、起業家、冒険家、ロードレーサーとして多方面で活躍。
その中でも、ロードレースに関心が強く、選手として参加。更にロードレースチーム「TeamUKYO」を作る。全日本実業団自転車競技連盟 (JBCF) の理事長経験があり、ロードレースチームのプロ化を目指す。JBCFでは、プロ化の話がなかなか進まず理事を辞職、ジャパンサイクルリーグを発足。今回の件に至る。
監督:清水裕輔
ブリヂストン・アンカーで選手として参加。引退後「NIPPO梅丹本舗エキサップアサダ」コーチ、マヴィック社員などを経て、2014年より宇都宮ブリッツェンの監督に就任。本経歴に至る。
総監督:橋本聖子
政治家。 (参議院議員:5期目(2022年時点))
スピードスケート選手として冬季五輪に、自転車競技選手として夏季五輪に出場。アルベールビル五輪1992のスピードスケート女子1500mで、冬季五輪では日本女子初となる銅メダルを獲得。森元首相の後を継ぎ、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長となる。公益財団法人日本自転車競技連盟(JBCF)会長経験がある。
政治的な話を少しだけ、、、
東京五輪2020の組織委員会会長職を引き継ぐことになった森喜朗元首相は、橋本聖子を政界に誘った人。森元首相も、ラグビーをはじめとするスポーツと政界をつなぐ重鎮のひとり。
選手
選手は、チーム右京相模原を中心に、JCLに参加しているチームから選抜されました。
山本大喜
キナンレーシングチームで活躍。JCL2021(初年度) チャンピオン。
増田成幸
宇都宮ブリッツェンで活躍。新城幸也と共に、東京五輪2020ロードレース日本代表として参戦。
岡篤志
UCIプロコンチネンタルチームのDelko–Marseille Provence (NIPPO DELKO One Provence/NIPPO-Provence-PTS-Conti)、EFエデュケーション・イージーポストの下部チーム「EFエデュケーション・NIPPO ディベロップメントチーム」に参加。
Tour of Japan 2022 第3ステージ相模原 優勝
チーム右京相模原から5名
チーム右京相模原で活躍。
※ネット構文の問題でこの様な表現になってしまいました。他意はありません。
ネイサン・アール
Tour of Japan 2022 個人総合優勝
小石祐馬
Tour of Thailand 2022 個人総合準優勝
レイモンド・クレダー
ツール・ド・台湾2022 ダイポールの総優勝に貢献。
石橋学
武山晃輔
ベンジャミ・プラデス
大仲凜功
感想と疑問
私なりの考えを書いておきたいと思います。意見があれば、最後にあるコメントや問い合わせ、または、TwitterのDMにお願いします。
感想
いいタイミング
発足のタイミングとしては、最高のタイミングだと思います。唯一の誤算は、コロナの世界的パンデミック、ロシアのウクライナ侵攻による世界情勢不安でしょうか。ただ、これらの不安要素は遅かれ早かれ、解消されていくものだと思います。
東京五輪2020の熱が冷めないうちに、次々と手を打っている今が、最高のタイミングと思われます。
自転車ロードレースレガシーサイクリング
2022年7月30日
実際にロードレースに使われたコースを橋本議員、片山代表、増田選手、弱ペダの渡辺航先生などのロードレース関係者、元警視総監の樋口氏などが走りました。
GRAND CYCLE TOKYO
レインボーライド・マルチスポーツ
2022年11月23日
踊る大捜査線の青島巡査が封鎖できなかった、レインボーブリッジ(高速道路)を封鎖して自転車で走行するイベントが行われました。
不足しているピースもあるが
世界最高峰の戦いが行われたコース、政界人、スポンサー、ヨーロッパスポーツに精通している人など、容易に揃えることができない様々な条件が揃っています。世界で戦える選手、さらに多くのファン獲得、本場ヨーロッパでサイクルロードレース経験者の助言など、足りていないピースが沢山あると思いますが、始動する条件としては十分にそろっているのではないでしょうか。
疑問
チームを運営していく上で、いくつかの疑問というか問題点が思い浮かびます。それらについて書いておきます。疑問はありますが、「これらのことが解決できていないからチームを作るなんて時期尚早だ。」という考えには否定的です。スタートさせた決断力と勇気を称賛します。
資金
チームの海外参戦は、国内大会とは比べ物にならないほどの資金が必要になることが、容易に想像できます。まずは、アジアの大会で成績を残すことを目標としています。レースをする都度、人と機材の運搬を考えると、それだけでそれなりの費用が掛かります。どのような参戦計画なのか見所です。
単年または複数年で主戦場を決めて、そこに拠点を設けるのもありかと考えてしまいます。
ワールドクラスのサイクルロードレースに参戦し続けるには、兎に角資金が掛かります。かつて、多くの日本企業が三大ツールに出場するチームにスポンサーとして参加してきましたが、継続的に参加できているのは NIPPO位です。NIPPOがスポンサーになってくれると、かなり強力です。
チーム名は
「Mitsubishi Estate NIPPO TEAM UKYO」
なんてのはどうでしょうか?
アジアに合っている様な気がします。チーム名の話は蛇足でした。
選手・コーチ
大変失礼なことを書きますが、世界に通用する選手は日本にいるのでしょうか?更に言うと、世界で通用する選手を育成できるコーチや監督などが日本にいるのでしょうか?
自転車競技の中で、世界に近いのがトラック競技です。トラック競技のコーチ陣は、ブノワ・ベトゥ(ディレクター)、ジェイソン・ニブレット(短距離ヘッドコーチ)です。世界と戦うには、世界を知っている人が指揮をとるのが適していることは、自転車競技以外のスポーツでも実績が物語っています。
日本のロードレースと欧州のロードレースは、全く異なる性質のレースと言えます。欧州のロードレースと言えば、ワンウェイコースが多いです。三大ツールともなれば、連日走り続けるステージレースです。国内では、1日目クリテリウム、2日目ロードレースという形が定番になっています。通しで戦うには、体のつくり方が変わってくるはずです。
それを体験している日本人は、ほんの一握りです。完走した選手ともなると、更に限られます。(戦略のひとつとしてDNFしていることがあるのは理解しています。)外国人選手がいるとしても、大半は日本人選手で構成されると思われます。ステージレースをこなせる日本人が、チームを作れるほどいるでしょうか?疑問です。同様に育成できる人材についても疑問符が付きます。
例えばですが、フランスに居る別府史之氏をトレーニングアドバイザーやテクニカルアドバイザーとして、遠隔地フランスからサポートを受けるとかできたら箔がつきますし、チームに安心感を与えられるのではないかと思います。
これが本当に近道か
まずは、今ある環境を利用した方がいいように見えます。
”資金の項目”でも書いていますが、株式会社NIPPOがUCIワールドチームの下部チームである「EFエデュケーション・NIPPO ディベロップメントチーム」に資金提供をしています。これらとの関係を築き、安定かつ継続的に海外進出する人材(選手・指導者)を育成し、トップチームである「EFエデュケーション・イージーポスト」に昇格させる。その体験を、日本のロードレースに還元するという形が、結果としては、近道なのではないかと考えてしまいます。
「EFエデュケーション・イージーポスト」は、アメリカのチームです。私が言ったような条件でスポンサー契約ができたとしても、日本側が考えている計画が、その通り実行されないという可能性は大いにあります。NIPPOがEFエデュケーションをサポートする前にサポートしていた「Nippo–Delko–One Provence」といチームがありましたが、NIPPOは日本人選手の育成にも重きを置くことを条件にスポンサー契約をしました。真相は分かりませんが、様々な事情でこの条件が反故される結果となりました。なので、日本人の為に一から国際チームを作るというのも、一概にダメとは言えません。
私の考えなどが、稚拙な考えであることを、結果で見せてくれることを願います。
魅力ある投資かどうか
チームをサポートするスポンサーは、ロードレースが、更に今回の国際チームが「魅力ある投資かどうか」という目で見ます。
魅力ある投資かどうかは、スポンサーも含まれます。***さんがスポンサーしているなら、私たちも・・・といった連鎖が起こります。反して大きなスポンサーが、大した理由もなく降りた場合、「魅力がない投資だった」となります。
ブリヂストンは、自転車トラック競技に注力していると言われています。無関係な企業のサポートも重要ですが、関係企業からのサポートも大切です。「チーム右京相模原」を残して「JCL TEAM UKYO」を立ち上げるのでしょうから、JBCFとJCLの関係が良好になれば、自転車業界からのサポートも受けることができると思います。
レース一本化の話
JBCFとJCLがトップリーグを一本化するという話があります。こちらについては、どうなっているのでしょうか?あれもこれも手を付けて、全てが中途半端で終わってしまわないことを望みます。
なんやかんやと、言いたいことを書きましたが、成功することを願ってやみません。
2023年成績
サウジ ツアー (5ステージレース)
個人総合38位 山本 大喜
1st
山本 大喜(31位)、岡 篤志(74位)、小石 祐馬(78位)
2st
レイモンド・クレダー(22位)、山本 大喜(65位)、小石 祐馬(80位)
3st
岡 篤志(39位)、ベンジャミ・プラデス(42位)、山本 大喜(57位)
4st
山本 大喜(44位)、岡 篤志(52位)、小石 祐馬(57位)
5st
ベンジャミ・プラデス(12位)、岡 篤志(13位)、山本 大喜(40位)
ツアー オブ オマーン (5ステージレース)
個人総合32位 山本 大喜
1st
ベンジャミ・プラデス(12位)、岡 篤志(17位)、レイモンド・クレダー(20位)
2st
小石 祐馬(38位)、山本 大喜(41位)、岡 篤志(57位)
3st
山本 大喜(34位)、ベンジャミ・プラデス(40位)、小石 祐馬(47位)
4st
山本 大喜(36位)、小石 祐馬(44位)、ベンジャミ・プラデス(52位)
5st
小石 祐馬(37位)、山本 大喜(39位)、岡 篤志(45位)
ツール ド 台湾 (5ステージレース)
個人総合3位 ベンジャミ・プラデス
(愛三工業レーシングの岡本隼が、個人総合2位でした。)
1st
レイモンド・クレダー(2位)、ベンジャミ・プラデス(17位)、山本 大喜(27位)
2st
レイモンド・クレダー(2位)、ベンジャミ・プラデス(3位)、山本 大喜(24位)
3st
レイモンド・クレダー(3位)、山本 大喜(29位)、ベンジャミ・プラデス(31位)
4st
ベンジャミ・プラデス(7位)、小石 祐馬(20位)、山本 大喜(40位)
5st
レイモンド・クレダー(4位)、ベンジャミ・プラデス(22位)、山本 大喜(43位)
ツール ド タイランド (6ステージレース)
個人総合3位 小石 祐馬
1st
小石 祐馬(2位)、岡 篤志(24位)、山本 大喜(53位)
2st
レイモンド・クレダー(3位)、山本 大喜(27位)、小石 祐馬(38位)
3st
小石 祐馬(7位)、ベンジャミ・プラデス(8位)、ネイサン・アール(12位)
4st
レイモンド・クレダー(3位)、ベンジャミ・プラデス(7位)、山本 大喜(18位)
5st
レイモンド・クレダー(5位)、小石 祐馬(21位)、岡 篤志(32位)
6st
レイモンド・クレダー(2位)、岡 篤志(15位)、ベンジャミ・プラデス(17位)
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