縁があって、「チェーンディグリーザーの素」を提供して頂けることになりました。
提供にあたり
提供をするにあたりGOTALさんより、以下の条件を提示されました。
「ライド毎に洗浄する。」はできていません。
はじめに
「チェーンディグリーザーの素」は少し長いので、以降は「GOTALの素」という表現で書いていきます。
GOTALの素とGherkin α比較
下の様に作業しました。基本的に、この感じでやっていきます。
GOTALの素
まずは、Gherkin α側をビニールで保護します。
使用方法どおりにやっていきます。2分つけ置き、3分シャカシャカして、3回または透明になるまですすいだときの写真です。落ちもいいですし、すすぎも楽です。
耐熱用のペットボトルでやっていますが、あまりオススメしません。チェーンが中で絡まり、カッターとかで、強引に開かないと取れなくなることがあります。
Gherkin α
ブラシにGherkin αつけて、ゴシゴシします。汚れがはっきりと見えるので、気になるところは、集中的に磨くことができます。
インプレッション
インプレッションは、GOTALの素とGherkin αを比較しています。既に使用しているチェーンを洗浄します。
チェーン情報
約3,000km走行済み
GOTALの素での洗浄回数 : 12回
使用開始からの走行距離 :約3,000km
【記事】全洗浄結果はこちらの記事にまとめています。
洗浄力
ブラシ使用して僅差でGherkin α
GOTALの素の方は、シャカシャカするだけなのに、かなり落ちていると感じます。どちらが、綺麗になっているかと言われれば、ブラシを使っていることもあってGherkin αに軍配が上がります。
側面
GOTALは、シャカシャカしただけなので、頑固な汚れは残ってしまっています。Gherkin αは、バットの上でブラシで磨いているので、洗浄しながら見えるので、自然とゴシゴシするので、汚れは落とせます。
インナープレート
この写真では、それほど大差はない様に見えるかもしれません。肉眼では、若干Gherkinの方が綺麗になっているのが分かります。ブラシを使っているので、当然と言えば当然の結果です。
時間・手軽さ
今の作業方法だと、まだ厳密には比較し難いですが、GOTALの素の方が手軽に短時間で済むように感じます。
集合住宅なら断然GOTALの素
マンションなどの集合住宅だと、圧倒的にGOTALの素がよいです。室内でもできますし、水場の近くで作業できます。Gherkin αは、換気の良い場所でないといけないのでベランダでの作業になります。水場から遠くなり、作業性が悪くなります。
洗い具合の安定性
安定のGOTALの素
GOTALの素は、2分つけ置き、3分シャカシャカするだけで、洗い具合が安定しています。Gherkin αは、丁寧にやればやるほど綺麗になりますし、手を抜けばそれなりになります。
中空ピン
GOTALの素の方が安定して洗浄できる
中空ピンのチェーンは使っていないので想像になりますが、中空ピンであれば、GOTALの素が安定して洗浄できそうです。中実ピンですら、しっかりと洗わなければ、綺麗になりません。GOTALの素であれば、浸かれば綺麗になる可能性が高いです。
固着した汚れ
どちらも落ちなかった
元々、チェーンを丁寧に洗浄する回数が少なかったので、チェーンとスプロケットが接触する箇所は、圧力によって汚れが固着していました。この固着汚れは、GOTALの素、Gherkin αともに落とすことはできませんでした。爪楊枝などで、そぎ落としてやっと取れます。
匂い
GOTALの素は洗剤の様な匂い
GOTALの素は無臭を謳っていますが、微かに衣類用粉末洗剤の様な匂いを私は感じました。
Gherkin αは換気が必須
Gherkin αは、灯油の様な匂いがします。室内で使うなら換気が必要になります。換気力が弱いと、時間の経過とともに匂いが充満します。
補足:季節(冬)
Gherkin αを使って屋外で洗浄する場合、秋、冬になってくると寒さのせいで、億劫になります。
酸・アルカリ
絶対に中性洗浄剤でないと嫌だ。と、言う方には、GOTALの素はアルカリ性なので向きません。
もしチェーンが切れたときに、「GOTALの素」が弱アルカリ性だから切れた。と、考えてしまいます。チェーンが切れる要因は多岐にわたるので、根本原因の追求は難しいです。パッと思いつく要因は、注油不足、過剰な汚れによる劣化、経年劣化、多走行、アウターローなどの斜めシフト、雨天走行後の手入れ不良などが考えられます。シマノが中性洗剤を指定しているのは、要因のひとつを確実に排除する目的だと考えます。
(シマノは、グリスは出していますが、チェーンオイル、チェーン洗浄剤は取扱っていない点は、ひとつ理解しておく必要があります。)
GOTALの素、Gherkin α、どちらにも言えることですが、使用している感じでは、水で洗い流せるのでしっかりとすすげば問題になることはないと考えます。
強い洗浄力
どちらも強すぎるくらい落ちる
チェーンオイルによって形成された被膜が、ごっそり落ちます。
洗浄後は、ウエスでしっかりと拭き取り、新聞に包み乾燥させます。乾燥後、ロードバイクに組んで、コマに注油していました。洗浄回数が多いせいか、打刻されていない側のプレートに表面錆が浮いてしまいました。
プレートサイドにも塗油が必要
完全脱脂ともいえる状態なので、チェーンのプレートサイドにも塗油する必要があります。
当社のディグリーザーは成分内に薄い膜を形成する成分が入っています。これが防錆の効果になっていると考えます。プレート面へのオイルの塗布が足らないと思われます。よく雑誌などで、注油はコマの間と書かれていますが、洗浄した後はプレートサイドにも塗布してください。防錆とシフト時の挙動に必要です。
ご指摘の通りです。ラスペネ等などの浸透防錆潤滑剤を使えば、このような問題は起こりませんが、私のやり方では、プレートサイドは塗油されません。プレートサイドにも塗油するようにしていきます。写真だと、錆が広がっている様に見えますが、洗浄後、全体をしっかりと注油することで、浮いたていた錆は取れて、その後も広がることなく使用できています。
チェーンオイルに合った洗浄
チェーンオイルには、注油間隔の目安が設定されています。よく調べないと見つけられませんが、オイルメーカーのサイトなどに書かれていたりします。注油間隔を考えて、洗浄するのがよいです。洗浄回数が多い場合は、配慮が必要です。
その他
個人的に、GOTALの素は今のところかなりいいです。手軽さと安定した洗浄力が気に入っています。可燃性でないとことも、評価できます。
有名どころは敬遠
元々、ワコーズやMuc-offなどの有名メーカーは、高いイメージがあって避けていました。それもあって、まずは、Gherkin αに行きつき、それなりに満足していました。今回機会があって、GOTALの素を使用していますが、こちらもとても満足しています。
ディグリーザー用のチェーン洗浄機は、面倒臭くなって絶対に使わなくなるのが分かっていたので選択肢にはありませんでした。
AZ チェーンディグリーザーを入手
ph8~9
試験紙でphを確認してみたところ、ph8~9のようです。ステンレスバットに外したチェーンを置いて、AZの溶剤を流し込んで、歯ブラシでゴシゴシしました。
あまり落ちない
両側面と上下方向の4面から丁寧に磨きました。洗い終わった後は、40℃位のお湯でしっかりとすすぎました。ウエスで拭き上げ乾燥させて洗浄完了です。
この方法は、Gherkin αと同じ方法です。かなり丁寧に磨きましたが、拭き上げた時たいぶ汚れが残っていました。ゴタールの素、グゥーキンと比べると、正直あまり落ちません。phが洗浄力に影響していると感じました。ポイントは、しっかりと濯いでph成分を残さないことではないかと思います。
準備
どんな風にやるか考えながら、準備しました。
80℃のお湯 250ml
温度計がないので、100℃のお湯と水を使って、80℃にしたいと思います。ネットで調べてみるとかなり数がヒットして、答えは一緒でした。
100℃のお湯 1Lに対して常温の水 300mlを混ぜると80℃になる。
すすぎにもお湯を使った方がいいようなので、この量でもいいかと思います。恐らく、少ない量でやろうとすると、安定しないのだと思います。
準備に向けて、GOTALさんに問い合わせていたら、、、
チェーン洗浄であれば、100℃のお湯でも大丈夫ですよ~。
ということで、チェーン洗浄に使うなら、湯温は80~100℃でOK。
上記の温度範囲なら、作業の最初に、ポットで沸かしておくだけで済みます。100℃近いお湯で洗浄する場合は、火傷に注意して下さい。80℃で指定しているのは、洗浄効果が最大になる温度と推測します。
シェイカー
80℃250mlとチェーンディグリーザーの素スプーン1杯を入れて、シェイクできるシェイカーが必要です。今回は、1本のチェーンを半分に分けて洗浄するので、耐熱ホット用ペットボトルでやります。
蓋にチェーンが通せるような穴を開けてあります。250mlになる場所に、マジックで印を付けます。お湯は、線を目安に目測で注ぎます。これが、シェイカーです。写真は、275mlのペットボトルですが、実際は、350mlの物を使いました。
実際のシェイカーは、取り出し口が大きいものがいいです。ペットボトルは、取り出しにくいです。
2分間つけ置きすることを考えると、コップ型ではなく、弁当・タッパー型がいいと思います。大きすぎると、つけ置きが上手く行かないので、□150mm位のサイズが良さそうです。
ケースに適しているもの
当然、耐熱性の物でなければいけません。どんなものかというと、材質がポリプロピレン(PP樹脂)のものが良いです。これを使っているほとんどの製品の耐熱温度が140℃です。
購入して使っているわけではありませんが、目を付けているのが「岩崎工業のスクリュートップキーパー」という商品です。容器、蓋共にポリプロピレンを使っています。250mlは分かりにくいですが目盛りがついていて使い勝手が良さそうです。シリコンのパッキンもついていて水漏れ対策もされています。
繰り返し脱着
毎回外すとなると、クイックリンクを沢山用意しないといけません。
準備をする中で、一番の問題です。再利用できるクイックリンクは知っていますが、数回でしょうから、いくつか用意しないといけないかも知れません。
WippermanのCONNEX LINKなら、取外し回数無制限ですよ。
ということで、購入しました。これについても別途レビューしたいと思います。
【記事】何度も再利用可能なクイックリンク CONNEX LINKをインプレ
GOTALの素が届きました
GOTALの素が届きました。裏面に使い方、注意事項が書かれています。中に計量スプーンが入っています。
やってみたこと
比較
折角Ghekin αも持っているので、1本のチェーンを半分はGOTALの素で、もう半分をGhekin αで洗浄してみて、汚れの落ちを確認しました。
その1:GOTAL/Gherkin 半々で洗浄
チェーンを半分に分けて、片方はGOTALの素、もう片方はGherkin αで洗浄します。
その2:拡大して確認
ルーペで拡大して、汚れの落ち具合、損傷度を比較・確認します。
GOTALの素の使い方
Gherkin αの洗い方
シェイカーに入れてシャカシャカするのではなく、敢えて、今までと同じ方法でやります。多く使うと、廃液の処理を考えなければなりません。
文字で書くとこちらの方が、簡潔になりますが、ブラシで磨くのは案外大変です。
チェーン洗浄に関する知識
チェーン洗浄のあれこれと私自身の考えをまとめておきたいと思います。
シマノのチェーンについて
まずは、チェーンについてです。チェーンの特性をしることで、洗浄剤との兼ね合いが分かって来ると思います。
SIL-TEC
チェーンの各部に施されているフッ素樹脂コーティングの技術ブランド名。テフロン樹脂加工とも言われています。フッ素樹脂コーティングと言っても、沢山の種類・構造体があるようで、SIL-TECがどのような有機構造体なのかは不明です。
フッ素樹脂コーティングの一般的な特徴として、下記のことがあげられます。
利点:耐薬品性、耐熱耐寒性 e.t.c
弱点:ひっかき傷に弱い
注目する点は耐薬品性で、「フッ素樹脂は、加熱された強酸、強アルカリや有機溶剤をはじめとする殆どの薬品に侵されません。」とあります。基本的に、SIL-TECコーティングが、酸やアルカリによって浸食される可能性は低いと考えられます。
フッ素樹脂コーティングの事を考えると、汚れが残っていることが一番良くないと考えます。
チェーンの材質
磁石が付くことから、鉄系(鋼材)と推測。
駆動系の中でも一番の消耗品といえ、交換することを前提にわざと消耗する様に作られていると考えるのが合理的。
洗浄は中性で
チェーンに付属している「ご使用方法」には、以下の様に書いてあります。
使用上の注意
シマノチェーン付属書類 2020年購入
ギアは定期的に中性洗剤で洗浄し注油して下さい。また、チェーンおよびクイックリンクの中性洗剤での洗浄および注油も、チェーンおよびクイックリンクの寿命を延ばすのに効果があります。
GOTALの素以外のディグリーザーにも、アルカリ性の物はありますが、明記していないものもあります。シマノが「中性で。」と言っているので、明言を避けている可能性があると思われます。とあるメーカーから聞いたコメントを後述していますが、クリーナーのpH値はそれほど高くなく、1度の洗浄で浸かっている時間も数分なので、しっかりと洗い流せばそれほど影響しないと考えています。更に言えば、5,000km近辺でチェーン交換することを考えると、許容されるのではないでしょうか。
pH(水素イオン係数)
アルカリ性の自転車用洗車剤が、いくつか有ることを確認しています。
ある洗浄剤メーカーの方が言われていたのは、「弱アルカリ性の洗剤なので、しっかりとすすいで下さい。残ってしまうと、塗装面を痛めてしまうことがありますが、すすげていれば、問題ないです。」ということでした。私が聞いた話は、ディグリーザーではなく車体洗剤でしたが、チェーンディグリーザーでも同じことが言えると考えます。
洗浄剤比較表
表にまとめてみました。
GOTAL の素 | Gherkin α | |
価格 | 〇 | 〇 |
手軽さ | ◎ | 〇 |
汚れ落ち | 〇 | ◎ |
水素イオン 係数 | アルカリ性 | 中性 |
どちらもよく落ちます。使用環境に応じて選ぶと良いです。
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